アゴラ古文の特徴
- 受験得点力を個個の生徒の受験学力・残された期間に応じた適切な方法・適正な期間で身につけること。
- 原文主義に基づいて学校文法ベースでの授業は行わない。
- 受験する大学の問題に応じた対策を立てる。例えば、東大・京大であれば逐語訳、つまり、文脈を踏まえた上での、一語一語に注意を払った訳出が求められるし、センター試験の場合は処理スピードを挙げるために文脈を拠り所にした内容推理の側面があるという具合
- 解釈に即応する文法「解釈文法」に基礎を置く。
- 「場」(条件)の設定を行なって、論理的解釈の基礎とする。
- 「係り受け」で文章を構造的・論理的に解釈する。
- 「視点」(意識のベクトル)に注意を払う。
指導の根幹
原文主義: 原文主義とは大学入試の課題文そのものに真っ向むきあって文章に書かれたあるがままを読解解釈するものである。
古文における原文主義とは文法や単語だけを切り取って断片化しないということです。
そして結果として初見の問題への対応力を高めていきます。
実際にあった話しです。先日、丸テーブルで談笑していた3人組の1人が僕を見つけてこんな質問をしてきました。
(見るとテーブルに松葉杖が立てかけてあります。僕は大げさに松葉杖の包帯が巻かれた握りの部分にゆっくり顔を近づけていって1cm位まで近づいたでしょうか)僕 :「こういうことなんじゃないかな。単語だけ覚えるって。」
(今度はスチールの部分にも顔を近づけていって、やはり1cm位まで近づいたところで)僕 :「文法だけっていうのも、こうゆう事かな。」
(顔をゆっくり遠ざけて、全体を眺めやって、こう言いました)僕 :「なんだ、松葉杖のそれぞれ部分だったんだ。包帯も、スチールも。」生徒:「文章の中で覚えるということですね」僕 :「そう、でもそれだけではないよ。松葉杖ということがわかってみると、この3人の中に1人、怪我をしている生徒がいて、それも軽くはない。部位も足だとわかる。そうすると我が身に置き換えて生活の不便さに心が痛くなる。」
僕 :「つまりだ。単語、文法はそれがなければ大切な情報には、たどり着けない重要なもの。だからといってそれだけでは、思うような効果は上がらない。なぜなら、文脈との交流が絶たれるから。そしてここが最も重要なんだが、世界は重層的に広がり立体化していく。そこに私たちは、「自分と同じ」感性を持つ、古人(いにしへびと)にめぐり会えるわけなんだよ。僕がみんなと戯れに学びたい古文はこんなとこかな。そこまでわかってくると初見の問題でも推理力がついてくるんじゃない?」
科学的手法(論理的読解)で学ぶ古文
詳しく説明する前に一般的な古文学習のポイントについて説明してみましょう。
- 文法を覚える。
- 単語を覚える。
- 品詞分解させる。
- 直訳させる。
- 題材に色気がない。(生徒の興味を惹起じゃっきしないという意味です)
これが正統派の学習法です。これでは生徒が古文嫌いになるのもわかる気がします。中間・期末試験は暗記さえすれば高得点。なんだかちょっと違うなと私なんぞは思ってしまいます。
たしかに古文は文学です。しかも日本人の価値観やらアイデンティティに直にアクセスする古典文学です。しかし、その文学性を十二分に帯びた古文であっても「つながり」という視点で見直すと科学的な手法が必要であるということに気付かされます。
私たち、教授者が初学者に伝えるのは、この「科学的手法」(論理的読解)ではないでしょうか。古文の文学性へのアプローチは、少しづつ読めるようになってくれば、生徒の方で勝手にやってくれると思います。なぜなら、自力で読めて楽しいからです。アゴラ古文では、単語も文法も、文脈を捉える上で重要なら、その説明は適宜行っていきますが、授業の中心とはなりません。
例えば和歌の解釈の問題が出たとします。やれ掛け詞、やれ句切れ、やれ倒置。修辞をひと通り説明し終えて、現代語に置き換え、それで事足れりということには決してならないということです。
和歌の詠み手が何を見(詠者の視点)て、それは風景の場合もあるし、自らの心象風景の場合もあります、どのような心情を吐露しているのか考えるのが和歌の解釈なのです。
古文であつかう和歌は単独で出題されることはありません。和歌は文脈という場の必然性に拘束されているものなのです。
アゴラ古文ではあらゆるジャンルの作品に対応出来るような、普遍的な方法を模索し続けます。一貫しているのは単なる置き換え作業で終わらない、論理的に矛盾のない読みを心がけるという一点だけです。
紙上講義
入試問題に出た和歌中心の題材を選んでみました。こちらのテキスト(※PDFファイルを開きます)をご覧になって下さい。設問は省略しています。
紙上講義のポイント
- 古文で何をどう勉強すればいいか理解する。(アゴラ古文)
- 古文を現代語にたんに置き換える(これを古文の勉強と勘違いしている生徒が多いです)
- 作業が古文学習ではないことを実例を通して理解してもらう。
- 「場」(条件)の設定について。
- 「係り受け」(主-述、地の文-和歌、接続助詞の媒介etcのつながり方)
- 「視点」(和歌の詠者の視点)
- 「色気」(人間が本来持つ感情のゆらぎ)を知って自分の身近な世界にして欲しい。