僕は今年新潟大学医学部医学科と防衛医科大学校(補欠)に合格しました。
『理論と実践は不可分』、『本を読むこと』。これらが僕が受験を通して得たものの中で最も大事なことです。
以下でその理由も含めて、僕の勉強法やら受験計画やらを書くので何かしら参考にして頂けると嬉しく思います。
まず『理論と実践は不可分』というのは、簡単に言うと、原理や原則、公式等を学ぶこととそれらを用いて問題演習等をすることはどちらも大切であり、疎かにしてはならないということです。受験勉強開始時や直前期など、勉強の時期によりどちらかに偏って勉強してしまうので、意識的に足りない方を補うとより深く理解出来ると思います。
次に『本を読むこと』なのですが、これは受験に限らず生きていく上で重要なことだと思います。僕が医師になると決意したきっかけも単調な浪人生活を刺激的に過ごせたのも本を読んでいたからであり、本を読むことで成長出来たことも数多くあります。ただ、国語の点数を上げるために本を読む等といったことは無駄なのでしない方がいいです。本を読むと結果として点数に反映されることはあると思いますが、最初からそれが目的だと無駄に終わると思います。世界には本当に興味深い人が数えきれない程いましたし、いますので本を通してその人達と交流することは有意義であり、受験勉強の良い気分転換になるでしょう。
次に各科目の勉強法等を紹介したいと思います。
*英語
英語はWriting,Reading,Listening,Speaking の4技能の力を伸ばしてこそ、真の実力がつくと思うので、僕は次の3本柱を意識して取り組みました。
- 単語
英語に限らず、言語の基本は単語だと思うので、単語は繰り返し繰り返し憶える努力をすべきです。
→「鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(鉄緑会英語科)/収録語数が多く、試験問題で知らない単語が出てくることが少なくなります。最大の特徴は単語がテーマ別でまとめられていて、語源で単語を憶えることを推奨している点です。
漢字に偏や旁があるように、英単語にもある意味をもつ語源があり、それが組み合わされて作られています。なのでそれを意識することが非常に重要だと思います。僕はこれを15周以上しました。
→『語源とイラストで一気に覚える英単語』シリーズ(明日香出版社)/上で述べたように語源が数多く収録されています。鉄壁とこの語源シリーズの欠点はCD音声がない点ですが、それを踏まえてもこれらはお勧め出来ます。 - 網羅系の構文解釈本
外国語として英語を学ぶにあたり、その構造を学ぶことは言語習得の近道だと思います。なので英語の「まとまり」が見えてくるまではこういった本や参考書を持ち、困ったらここに戻ることをお勧めします。
→『英文解釈の透視図』(研究社)/全体的に堅い文章です。英語の構造やまとまりは詳しく載っているので僕はこれを愛用していました。訳は直訳が多いので、文や単語のまとまりを意識するために使っていました。
→『Rise 構文解釈』シリーズ(Z会出版)/透視図より文章が易しく、難易度別に分かれています。 - 音声付き長文教材
1,2で疎かになりがちなListening,Speaking の力を伸ばすために意識して取り組んでいました。鉄壁や透視図のように音声のない教材を使っている人はそれらとは別に音声付き長文教材を使った方が英語のリズムやイントネーションを身に付けられます。シャドーウィングをすると良いです。
→『TED』/内容が幅広く、インターネットやアプリで無料で聞けます。英語が生きています。
→オーディオブック/一度読んだことある本が良いと思います。読んでいると格好良く見えます。
最後に、ある程度英語が読めるようになったら是非洋書を読んで下さい。大まかには上記の3本柱は『理論』で、それを用いて洋書を読むことは『実践』だと考えています。英語は一つの手段なので、それの構文解釈が目的にならないように、英語を用いて様々な情報を得るべきです。これも内容を知っているものや、一度日本語で読んでから読むと挫折せず読めます。
*数学
僕の数学の勉強は主に岡本さんの授業の予習復習でした。高2でも高3でも沢山赤点を取ってしまった僕が二次試験で数学で差を付けることが出来たのも岡本さんのお陰だと思います。問題の選び方や授業の雰囲気はもちろん素晴らしいのですが、特に僕は岡本さんの数学の解釈の仕方がわかりやすくて、好きでした。数学の抽象的な所を身近で具体的な例などで説明してくれるので、しっかり体系的に数学を学べました。
→『1対1対応の演習』シリーズ(東京出版)/網羅系の参考書の中で最も良い参考書の一つだと思います。チャートやFocusGold等の問題量が極めて多い参考書は本当に大事なことが分かりにくいですが、これは程よい量で、かつ質がかなり高いのでお勧めできます。中堅国公立医学部あたりはこの水準の問題が合否を左右すると思うので、押さえておくと良いです。僕は2,3周しました。
*国語
古漢に関しては、まず単語を覚えるべきです。どんなに良い授業を受けていたとしても、自分で能動的に単語を覚える努力をしなければ力はつかないでしょう。英語同様に古漢も言語なので、音読をすると効果的だと思います。自分が今まで気付けなかったことや理解出来なかったことが分かることが多いですし、リズムも体で覚えられます。またある程度読めるようになったら、古漢も英語と同じように原典に手を伸ばしてみて下さい。そうすれば古漢の実力以上の何かが得られると思います。現代文は上江洲さんの授業がお勧めです。表面的で小手先の技術を教えるのではなく、もっと深く、そして本質的なことを生徒と一緒に考え、また指導してくれるので極めて質が高いです。
→『古文解釈 はじめの一歩』(駿台文庫)/助動詞の説明がわかりやすいです。習い始め等に用いると良いと思います。
*物理
物理は面白いです。微積分で物理を学べるようになると物理の面白さは飛躍的に増します。
授業を『理論』、体系物理等の網羅系の問題集を『実践』として位置付け、躓くとそれらを行ったり来たりしていました。理科は理論に時間を取られ、実践が不足しがちですが、焦らずどこが分からないのかを分析しながら学ぶと良いです。
→『体系物理』(数学社)/途中まで京大志望だったので、京大の問題形式(穴埋め式)に近いという理由で使ってい、問題を解いた日付、その出来(○,△,×で評価)を問題の隣に書き、効率的に弱点補強に努めました。3,4周(間違えた所は)しました。
→『理論物理への道標』(河合出版)/講義や問題の水準がかなり高いので、講義のところだけを読み物として読んでいました。東大や京大等を志望で余裕がある人がやると良いと思います。
*化学
暗記量がモノを言う科目ですが、無闇やたらに覚えるのではなく、どうしてこうなるのかを常に自分に問いながら、深い理解を目指して下さい。
→『化学重要問題集』(数研出版)/『実践』として何周もしました。基礎固めの時期に2,3周するのも良し、センター明けに勘を取り戻すために解き直すのも良し、と色々な時期に用いました。これがスラスラ解けると基礎力はあると考えて良いと思います。志望校によっては『化学の新演習』を使うのも良いと思います。
→『原点からの化学』シリーズ(駿台文庫)/『理論』として浪人期に使いました。教科書などでは「暗記」とされている事柄を詳しく説明してくれ、しっかり理解出来ます。
2周ほどしました。
最後にアゴラの先生方への感謝の意を述べたいと思います。
*座波さん(英語)
座波さんには英語だけでなく、受験計画や勉強法等様々なことを指導していただきました。座波さんの教える英文解釈は僕の知っている中では一番理解しやすく、応用が利きます。
また僕が現役の時の秋模試で断トツのE判定を取った時には、駄目出しをするどころか、物凄く励ましてくれたのをとても覚えています。座波さんは優しく、常に前向きに励ましてくれたので、僕のような生徒には有り難かったです。座波さんの優しさは本当に力になりました。とても感謝しています。
ありがとうございました。
*岡本さん(数学)
岡本さんには高2の秋からご指導して頂いたので約二年半お世話になりました。
昔から岡本さんに褒められるのは特別嬉しくて、「石垣くん、素晴らしいです」と褒められるために数学を頑張っていたような所もありました。また合格を報告した時も特に喜んでくれて、心の底から合格して良かったと思いました。僕は岡本さんという人間が好きです。本当に尊敬しています。合格させてくれてありがとうございました。
*上江洲さん(国語)
上江洲さんにはアゴラ開校時からお世話になっていて、国語はもちろんのこと、個人的な悩みから受験に関係のないことまで沢山相談に乗ったり、お話してもらいました。僕が受験を通して成長出来たと自信を持って言えるのも上江洲さんが要所要所で助言をしてくれたり、叱ってくれたお陰だと思っています。僕は叱られて伸びる子なので(笑)、特に叱ってくれたことに関しては本当に感謝しています。上江洲さんが叱って教えてくれた大事な事の数々は僕の今後の人生にも大きな支えになると思います。ありがとうございました。
アゴラの先生方や一緒に勉強した友人やアゴラの掃除を陰でやってくれた後輩など多くの人達にお世話になりました。無事合格出来たのも皆さんの支えあってのことだと思っていますので、心から感謝しています。これを見ている受験生の皆さんも周りの人達に対する感謝の気持ちを忘れず、勉学に励んでもらいたいです。
以上です!